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[社長ブログvol.2] アアルトとイッタラ

社長の吹戸です。

先週に引き続き、イッタラのお話です。

前回のブログはこちら

今回はアイノ・アアルトの
タンブラー誕生秘話について触れます。

先日の大阪のイッタラ直営店で目にした
アアルトベースの木型以降、
アアルトにはまりすぎて
小泉隆先生(九州産業大学建築都市工学部教授)
の書籍でさらにはまりました。

 

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「アルヴァ・アアルトのインテリア 
建築と調和する家具・プロダクトのデザイン」
小泉隆著 

アアルトデザイン、イッタラ好きの方には
本書はおすすめですのでぜひ。
小泉先生のアイノタンブラーの解説が
面白かったのでご紹介します。

イッタラといえば・・・というほど
アイコンになった
フィンランドのデザイナーアルヴァ・アアルト。


アルヴァのベースは同国デザインの象徴であり、
パートナーであるアイノのタンブラーは
世に出てから90年の時を超えた今でも
世界中で愛用されている名作です。

 

 

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現代は半年で廃盤になる商品が
あふれている世の中。
それが90年間第一線の売場で、
しかも世界中で販売されているということは、
それだけで秀逸さを物語っています。

その後生まれた他のタンブラーより
人々が世代を超えて選び続けたという事実。
そんな生活雑貨はこの世にどれほどあるのか。

 

 

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タンブラーの誕生は
アイノがアルヴァのアトリエで
仕事を始めたことから始まります。

1924年、アイノはアルヴァのアトリエで働き始めて、
半年後に2人は結婚。
その後も公私にわたるパートナーでした。
アイノは単なる助手ではなく、
プロダクトデザインや
アートディレクションにかかわるほど
その後アアルト事務所の中心人物として
活躍しています。

 

 

アアルトタンブラーは
1932年にイッタラ社が主催した
ガラスデザインのコンペティションに
応募した作品で大会の受賞作です。
著書の中で小泉先生が経緯を説明しています。

アルヴァ・アアルトと、アイノ・アアルトが
それぞれに作品を応募。
アイノは「ボルゲブリック」(波)をテーマに
水差し、タンブラー、ボウル、浅皿、シュガーポット、
ミルクピッチャーからなるセットで出品して
押し型ガラス部門で2位を受賞した。

一方アルヴァは「カールヒート」
と名付けた案で9つのグラスと
2つのデカンタを応募したが落選している。
(小泉、2020、p.161)

 

 

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アアルトタンブラー(小泉、2020、p.160)

 

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アルヴァの「カールヒート」(小泉、2020、p.160)

 

注目すべきはこの大会で、
建築家の先生が落選、
奥さんは入賞し、
しかも大会で2位を獲得したことです。

これは一目置きますね。
それにしても上の2つの作品の画像、
確かに奥さんのデザインの方が
いい感じかも、です。

 

リング状の凹凸にも深い意味がありました。
このタンブラーは不思議に手になじみやすく、機能的。
フォルムのコンセプトも
湖の波紋をモチーフにしたデザイン。
しかし、それは同時に製造過程での
苦肉の策でもあったようです。
小泉先生はこう説明します。

波紋のような同心円状の凹凸が付けられており、
形自体はシンプルな器に豊な表情が付与されている。
加えてこの凹凸は、器を手で持った際の
滑りの防止、器の強度の向上、
さらには製造時に発生する気泡を
隠す役割も果たすものだった。
(小泉、2020、p.161)

 

凹凸は製造過程で出る
ガラス内部に残る気泡を
目立たなくする役割があるのですね。
この形に秘められたストーリー。
作り手にもフレンドリーな
包容力があるデザイン。
おしゃれなだけじゃなかった。

 

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アアルトの建築やプロダクトは
自然との調和、敬意のようなものを
何気なく生活に取り入れられる形がいいなと
改めて感じています。

国は違えども、京都などで見るような日本建築や
庭造りと近い気がします。
使うときには何気ない使いやすさを感じるフォルム。
主張せず、控え目で、だからこそ生まれる心地よさ。

日本の美と親和性のある感じが好きです。
今回のアアルトベース90周年の年に、
改めて「心地よい雑貨とは・・・」を
考えさせられました。

 

【参考資料】

小泉誠 (2020) 
アルヴァ・アールトのインテリア 
建築と調和する家具・プロダクトのデザイン 学芸出版社

小泉誠 (2018)
アルヴァ・アールトの建築
エレメント&ディテール 学芸出版社